- 棘 -

アイコン素材「アイラブシールド21」




「すごい犬だな」
「褒め言葉か?」
 進に向かって走り出しそうなケルベロスを、ヒル魔はしゃがみ込みこんで撫でて、落ち着かせようとする。
 だが進もしゃがみ込み、いっそうケルベロスは凶暴に唸らせる。ヒル魔は溜息が出たが、進は落ち着いたものだ。なんてたって熊とも対決できる男なのだから。
「この犬にアイシールド21が引きずられてるのを見かけたことがある」
「アイシールド?」
「ああ、黒美嵯川沿いを走っていると、アイシールド21に会う時がある」
「・・・仲良くランニングでもしてるのかよ」
「時々、だがな」
「ふーん」

 うれしそうな顔だった。

 高校最速を抜いたスピード、進がアイシールドに興味を持つのは当たり前だ。それはいいことだと思ってる。
 セナが高校最速の男のランニングについていける。
 それを喜べるハズなのに。

 ―――悔しくも思ったのだ。


■ヒル進的にヒル魔は進のライバルなセナに嫉妬はありえるか?試しにちょっと嫉妬っぽく。
04/08/06 ★ MAGIC CHANNEL / キル