- 95th downに向けての妄想 -

アイコン素材「アイラブシールド21」   アイコン素材「アイラブシールド21」




 全国高等学校アメリカンフットボール大会、開会式が終わり、選手達は次々に帰っていく。これから各自、試合が待っている。ここでぐずぐずしてるヒマはない。
 それでもセナは、キョロキョロと大量の選手達を見ていた。いや探していた。たった一人の選手を。王城ホワイトナイツの進清十郎を探していた。
 泥門デビルバッツはAブロック。
 王城ホワイトナイツはBブロック。
 今、会わないと当分会えない。決勝進出まで会えないのだ。なにを言いたいわけでもない。一目見たかった。
『決勝で待つ』
 そう言ってくれた人に。

「糞チビ、行くぞっ!」
「ま、待って下さい、もうちょっとだけ」
「うっせい!早くしろ!!!」
「ひー」
 ヒル魔のマシンガンが連射され、セナは逃げ跳ねる。
 会えないのか・・・と残念に思っていると、人だかりが割れていく。まるで十戒のように、人の海が引いていく。
 出入り口にいた者の視線が奥へ、人を割った者へと集まっていく。
 白いユニホーム、水色のカラーポイント。
 王者、王城ホワイトナイツが出てきた。

 迫力に押されながら背番号40番を探していると、人出に押されポンッとセナは押し出されてしまった。
 ―――は、はずかしー。
 アイシールドで人に顔は見えないのだが、セナは真っ赤になっていた。
「アイシールドか」
「はい?」
 声の方を見ると、そこに高校最強の男が立ち止まっていた。
「進さん・・・」
 喉が緊張で鳴る。身長差20センチ、セナは進を見上げる。高く、大きく、強い存在を。そして・・・

「決勝で会いましょう」

 セナがそう言うと、進は一瞬驚いたようにセナを見、そしてほんの少し、笑った。
「ああ」
 滅多にない笑った進にセナは見惚れた。

「糞チビ、ホレ、俺らも行くぞ!」
 その様子を見てたヒル魔が固まっているセナに声をかける。

 セナをはさみ、ヒル魔と進の視線があった。
 二人の間に走る一瞬のスパーク。強烈な火花が熾った。

 だが二人の視線はすぐに外され、進は試合会場に向かう。ヒル魔はセナを引きずって第2会場へ。
 スパークを感じたのは二人の間にいたセナだけだった。

「いやー、糞ガキだ糞チビだと思ってたが、なかなかやるねー、アイシールド君は」
 ヒル魔は上機嫌でセナのユニホームの首根っこを引きずっている。セナはされるがままだ。
「なんですが?」
「進に言っただろ、『決勝で会いましょう』って」
「はい」
「それって、王城以外敵じゃない、って聞こえるぜ」
「そ、そんなつもりはないですよー!」
「ケケケ」
 慌てびびるセナを連れながら、ヒル魔は楽しそうに笑った。

 すべては始まったばかり。
 すべてはこれから。
 ―――すべては勝利の上に。


■まさか長野に行くとは(笑)。ヒル進、と言ってみる試み。
04/07/05 ★ MAGIC CHANNEL / キル