VeryVery 2




 日が陰るのが早くなった。
 ビビは夕暮れ時に甲板に出、海を見ている。
 見つめる先には、まだまだ見えない彼女の故郷か、変わらない海の向こうを見つめる姿は声をかけずらく感じるほど。

「ビビ、なに見てんの」
 女部屋から出てきたナミはたたずむ王女に声をかける。
 後ろ姿は拒絶されてるようで顔を見ないと、目を見ないとナミは安心できない。
「夕焼けです」
 赤い夕日が海を染める。
 赤い海にナミはウイスキーピークで爆破した船を思い出す。ベルメールの流した赤い血を思い出す。赤いビビを不吉に思う。

「夕焼けが海を染めて、私もオレンジ色になってるでしょう。ミカン色かな。ふふっ、ナミさんみたいにならないかな、って思って」
「私みたい?」
「そ。強くてやさしくパワフルにね」
 ミカン色になって笑うビビ。その姿を見てると、さっきまで血の色のように見えていた夕焼けが、ミカン色に変わっていく。
「ありがと・・・」
 小さな声で礼を言って、ビビと並んで夕焼けを見る。もうすぐサンジが夕食だと知らせるほんの少しの間、ナミとビビはミカン色に染まっていく。

 でもね
 私みたいにはならない方がいいわよ。



 強い横顔。
 小さな背中。
 あんたを血には染まらせない。

 私の色に染まりなさい。











♪あなたの 色に 染まりたい。

03/03/11 ★ CULT BITTER / キル