VeryVery 1




「あら・・・」
 買い出しの途中、入った店でナミはかわいい髪飾りを見つけた。
 貝殻の形、その中央にはパールと透明ブルーの小さな粒。涼しげな色合いと海のイメージの髪飾り。

『ビビの蒼い髪にとても似合いそう・・・。
だいたい、あの子ってばいっつもポニーテールなんだから。たまにはおろして、こんなかわいい髪飾りでもつければいいのに』

 ナミはそう思って、ふとあることに気付く。

『あ。あの子、髪飾りなんか持ってないんだ!』

 ウイスキーピークから、体ひとつで乗り込んできたビビの持ち物はなにもない。全てナミから借りている状態だ。
 そう思うと、髪をおろさないのも気を使ってるからかもしれない。・・・気付いてやれなかったことに少し落ち込む。ナミは、髪飾りが飾られているショーケースに額をあてる。

 でも、それを言わないビビも悪いとも思った。

「すいませーん」
 ナミはビビに似合うと思った髪飾りを買うことにした。ナミからのプレゼントだ。
「この髪飾り下さい」
「はい。プレゼントですか?」
「・・・ええ。プレゼントです」
「分かりました」
 店の者がナミの選んだ髪飾りを丁寧に包装していく。
 それを見つめるナミはうれしかった。誰かに何かをプレゼントする気持ちがうれしかった。

 今まで奪うことしかなかった生活。それが当たり前のことだった。だけど今は誰かのために、大好きな人のために選んで買ったプレゼント。

 髪飾りを買ったことで、自分の買おうと思ってた物が買えなくなったが、それはまた今度。その分、ビビをたっぷりいぢめてやる!と思ってナミは笑った。

『今まで髪をおろさなかったあの子が悪い。
だから、きれいに髪を梳かしてあげて、髪飾りを飾って、ビビに似合う服を着せて・・・今日の夜は、あんた私の着せ替え人形よ!』



 花模様の袋に入れられたプレゼント。
 ナミの両手に収まった、小さな愛のかけら。

 わたしからあなたへ。











♪わたしから あなたへ ♪このうたを〜 とどけよう

03/03/11 ★ CULT BITTER / キル