トラブル・メーカー
「一緒に来ねぇか?」 ルフィの兄エースが自分の海賊団に誘いをかけた。 「いやだ」 予想通りの返事が返ってきてエースは思わず笑ってしまう。 「言ってみただけだ」 お前はお前の仲間と進むんだな、『海賊王』に。 そしてエースはルフィの仲間達を見た。手を焼いてるだろうルフィと共にしてる仲間達。その中の青い髪の少女のところで目を止める。 船のヘリに座り込んでたエースの体はひょいっと甲板に飛んだ。そのままスタスタとルフィの仲間の元にやってきてビビの前に立ち止まった。 「お嬢さん。お手を」 思いがけず優雅な手つきでエースはビビに手を差し出した。今まできょとんと見ていたビビはとっさのことで慌ててしまう。 「??はい?」 王女としての性質がそうさせるのか、ビビは思わず手を差し出してしまう。凍り付いたように固まるサンジとあまりの展開に呆然とするルフィ達。 「じゃ、行くか」 そういうとビビの手を取って、すたすた歩いていく。ビビも何のことだかわからず数歩あるいてしまっている。 グワシ! 「くぉおおら。待てや!!」 ビビの肩を後ろから抱きしめ、二人が歩くのをストップさせる地獄の底から響くような声がかかった。 「サンジさん!」 幾分ホッとしたようにビビは後ろを振り返った。が・・・サンジの姿を見て固まってしまった。 「あんたが帰るのはいい・・・だけどなんでビビちゃん連れてくんだ!??」 怒り大魔人とかしたサンジがエースを睨み付ける。 「えー、わからねぇか?」 困った子供を見るみたいにエースはサンジを見た。 「持って帰るんだよ」 「ってなんでアンタが!!」 どう反応していいのかわからないビビを挟んで怒り心頭サンジと、ひょうひょうとしたエースが向かい合う。 そこにルフィが声をかけた。 「エース、ビビはアルバスタにオレが連れてくんだからダメだぞ」 エースはルフィの方を振り返る。 『オレ』が連れていく・・・ねぇ。 そう思うとエースはしみじみとルフィを見た。 「へぇ〜アルバスタか。また大変なとこ行くんだな。何しに行くんだ?」 今まで固まっていたビビが答える。 「暴動を止めに」 「大変だぜ」 エースは繋いだ手を自分の口元に持ってく。 「分かってます」 ビビは真っ直ぐエースを見つめる。 「オレと一緒だとアッという間にカタがつくぜ」 「・・・仲間が一緒ですから」 エースの目を見てビビは微笑んだ。 あぁ。こーゆー目に弱いんだよな。 「ま、オレも今やることあるし」 そういうとエースはビビにキスをした。 「また会う約束って事で」 そう言うとビビのそばから離れた。 ドスン! さっきまでエースがいたところに大きな穴が出来た。サンジのカカト落としが決まった穴だった。それを見てウソップが叫ぶ。 「サンジ!船壊すな!」 「とっとと帰りやがれ!!!!!!」 サンジは後ろからビビを抱きしめ叫ぶ。 「オレの、オレの、オレの目の前で ビビちゃんにキスしやがって!!!!」 帽子を押さえ持つエースは船のヘリに再び立った。 「もう行くのか?!!」 久しぶりに会ったのに・・・とルフィが声をかける。エースはルフィに紙切れを投げ渡す。 「次会うと時は海賊の高みだ」 そういうと乗ってきた小型の船に移り去って行った。 「もう来んなーーーーーーー!」 サンジの声がこだまする・・・。 「ぐふふ、おもしろくなってきたわね」 笑いだすナミ。 「やっぱ、ルフィの兄ちゃんだよな」 変に感心するウソップ。 「ナンパ?」 よくわからないチョッパー。 「なんだーありャ?」 ゾロは脱力してる。 「あ〜あ、エースは昔っっっから『トラブル・メーカー』なんだよな〜」 ルフィは大きなため息を付く。 『そりゃお前も同じだろ!』 みんなが心の中で同じツッコミを入れる。 「デキの悪い兄を持つと、オレは心配だよな」 シシシとうれしそうに笑う。 「ほしいモノは持ってっちゃうヤツだから」 そう言うとルフィはビビの方を振り返る。赤い顔をしてサンジに後ろから抱きしめられてたビビはハッと正気に戻る。そしてサンジに抱きしめられてたことに気付くと、またいっそう顔を赤らめ、サンジにアッパーカットを喰らわせ女部屋に逃げてしまった。 「ビビ、つえーぞ!」 『サンジ・・・報われないヤツ・・・・・』 ぴくぴく倒れてるサンジを見守る一同だった・・・。
■7月は自分の誕生月なので書きたいモノを書く・・・ちゅうわけで『エース×ビビ』でございます。二人大好きなんでくっつけてしまいました!エースかっこいいよね〜!
01/07/12 ★ CULT BITTER / キル
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