DEAD OR ALIVE




「『砲弾』が"時限式"なの!!
 このままじゃ爆発しちゃう!!!」

 砲弾を止められた。自分の鼓動の音と吐く息の音しか聞こえない。

 カチ カチ カチ カチ・・・・・

 聞こえないハズだったのに・・・!!!



 ショックを受けてる場合じゃない!さがせ探せ捜すんだ、音のする爆弾を探すんだ。まだ爆発していない、少しでも時間はある!
 砲弾の周りを見渡し、その下の小さな箱を見つける。
 すり寄って耳を近づけると「カチ、カチ、カチ・・・」確かに音がする。
 慎重にする時間もなく、箱を開ける。



 カチャ
 開けた途端爆発するトラップはなかった。
 心臓の音がどんどん大きくなっていく。細かな機械を見る。慎重にしなければと思いながらも、線をよけどこかにあるはずの爆発へのリード線を探す。
 底に2本の線を見つける。
「あった!後は・・・・」
 どちらかが爆弾に繋がっていて、もう一つはダミー。単純な罠だけど、賭けるものは命だ。
 「1」か「0」。「生きる」か「死ぬ」か。なんてわかりやすい。

 時間はない。
 今、切る線を選ばなければ・・・
 切る線を間違えれば、ここは爆発し近くにいるみんなを巻き添えにし、国がダメになってしまう。
 顔から冷や汗が流れる。まだ生きてる証拠だ、そう思える自分に笑ってしまう。
 時間はない!

 赤いリード線を持ち上げる。
 赤い色は嫌い・・・血の色だ。
 みんなみんな戦っている。
 同じ人間同士がこの国のために、戦い、傷つき、血を流してる。
 早く戦いなんて終わればいい!
 赤い線を切ろうとする。





「ビビ」





 赤は血の色・・・・・だけど、なぜかルフィさんを急に思い出す。
 赤い服を着た麦藁のルフィさん。
 どうして今、私の中に出てくるの?なぜそんなうれしそうな顔をしてるのよ・・・
 目から涙があふれ出す。

 クロコダイルと戦っているルフィさん・・・
 傷ついてないだろうか?血を流していないだろうか?そう思うと涙が後から後から流れ出す。
 時間がない、時間がないのだ!自分に言い聞かせる。
 涙を振るい、頭を振る。みんなのことを考える。
 この2本のどちらかを切ることで、この国を救えるんだ。






 カチ カチ カチ カチ カチ・・・



 ・・・私は、この線を切る。



 カチ カチ カチ



 カチ カチ



 カチ・・・


■今週号読んで思わず「幽遊白書」のラスト間際を思い出して書きたくなりました。

01/11/16 ★ CULT BITTER / キル