抱きしめたい
アルバスタを出航し、ビビと別れて数日が過ぎた・・・。 船にはビビの面影が色濃く残っていて、当たり前のように彼女の名前を呼んではいないことを思い出し落ち込む。ナミの部屋に、甲板に、キッチンに・・・なにもかもがビビを思い出させた。 サンジはビビがアルバスタにいると分かっていても、サンジは無意識に彼女の青をさがしていた。 それは一枚多い皿を出していたり、一人分多い食事だったり、ビビの好きな献立だったり・・・。と、やるせない溜息をつくのだった。 最後は慌ただしく、別れのキスさえ出来なかったことを悔やんでいた。 そんな昼下がり、郵便鳥が手紙を運んできた。 「みんな!ビビから手紙よ!」 ナミの大きな声が船に響く。皆がそこかしこから集まった。 「はやく読んでくれよ」 ルフィがうれしそうにせかす。ナミを中心に輪を作るように甲板に座りこんだ。 「みんな集まった?じゃ、読むわね」
皆、しんみりと聞き終えた。ナミはみんなに手紙を回した。ビビの字を見てビビのことを思い出し、彼女もまた寂しがっているのを知った。 手紙をなおそうとして封筒を見ると、もう一枚手紙が入っていた。 「あら、これはサンジ君宛みたいよ」 「ほんと?ナミさん」 サンジが喜びの声をあげる。ナミはサンジに手紙を渡した。が、受け取ったサンジが困ったように手紙を見た。 「俺、字読めねーんだ・・・ナミさん、二人っきりで俺の耳元なんかで読んで下さい〜」 サンジはうれしそうにナミに手紙を渡した。 「そうなんだ、じゃ、読ませてね」 ナミがさっと手紙を斜め読みすると・・・・・急に固まり手紙を凝視する。 「へ・・・えぇ・・・・・」 少しずつナミは興奮していく。うれしそうに手紙をながめ、そして魔女の微笑みを浮かべ、みんなに聞かすために大声で手紙を読み出した。
そこで間をおき、ナミはサンジをニヤニヤと見る。サンジは不吉なことでも書いてあるのかと不安を募らせて、次の言葉を待った。
「へ・・・・・」 ポロッとサンジの口から煙草が落ちる。 「こども・・・?」 いきなりのことに反応できず、呆然となる。 「俺とビビちゃんの・・・」 「おおー!子供だって!」ルフィはうれしそうにサンジに言う。 「おめでとう!」ナミはニヤニヤしてお祝いの言葉を言った。 「に、に、にんしーん!?」ウソップはびっくりたまげてる。 「妊娠してたのか?」チョッパーは驚いた。 ビビの妊娠に喜びと驚きの声の後、ゾロが冷静に言った。 「・・・アルバスタに帰るのっていつ頃だ?」 「俺も名前、考えるぞ!」 はしゃぐルフィに、サンジはハッと正気にかえった。 「だめだ!おれが、俺が・・・ビビちゃんと・・・」 混乱してるようだ。 「と、とにかく、アルバスタにもどる・・・戻ろう!」 「なあ、『ニク』ってどうだ?」 「あほか!!!」 全員からツッコミが入った。 その後・・・・・。 海賊らしいやり方で電伝虫を手に入れ、アルバスタへ連絡を取った。 久しぶりに聞くビビの声に一同は喜び、サンジはどぎまぎしながらも幸せそうにビビと話しているのだった。 |
アルバスタ到着前に書いたSS。今見ると・・・避妊しろ!とツッコミを入れたい。