血とワインと肉




「肉!!!」

 クロコダイルに負けたルフィはペレに助けられ、近くの街に運ばれた。ペレ・ルフィ共に重傷だが刻一刻を争う今、早く宮殿へビビの元へと焦っていた。
 ペレは治療を受けながら、アルバーナに向かうため動物の手配や人々に指示を出す。
 その横で、顔色が悪く血を流しながら、ルフィはただひたすらに肉を食っている。あまりの食べっぷりにペレが尋ねる。
「今、なぜそんなに食べれるんだ?」
「・・・・・この肉で胸の穴をふさぐんだ!」
 そういうとクロコダイルにやられた胸に手をやる。そこから流れる血は ルフィの血であり、ユバでもらった水からの力でもあった。
「『ユバ』は砂なんかには負けやしねぇ・・・オレもクロコダイルになんか負けやしねえ!!!」
 そう言うとまた肉を食い出す。
 その姿を周りのものは呆然と見てしまう。その食いっぷりを。その決意を。
 追加の肉を持って来たものは、目に涙を浮かべながらルフィの前に肉を置く。
「・・・ありがとうよ」
 小さな声でルフィに礼を言う。アルバスタのために戦う少年に。

 ルフィがふと目をやると前のテーブルに赤い液体がある。
「なー、これ血か?!」
 ルフィは瓶を取る。
「それは赤ワインじゃよ」
 医者が答える。ルフィは赤ワインを見て考える。
 流れ出た血は戻らない。なら別のもので補えばいい。

「・・・・・今からコレをオレの血にする・・・・・」

 周りが止めるより早くワインを飲み出す。
 ゴクッゴクッゴクッ
「うはぁ。肉とワイン、おかわりっ!!!」
 まるで水のようにワインを体内に入れる。
「大丈夫か!?」
「・・・・・まだまだ足りねぇ・・・ちくしょう!早く治りやがれ!」
 焦る気持ちが体からあふれ出そうになる。体に力を入れると痛みが走る。
 目を閉じるとビビの姿が映る・・・



『ルフィさん!!』



 必死にルフィを呼ぶ姿。
強がって心が悲鳴を上げてるお姫様。そんな姿しか見てねぇじゃねえか。



『ルフィくん、この水を持って行きなさい』



 ユバの街のカラカラのおっさん。オレはユバの心をもらったんだよな。
 まってろよ!!!

「よし。乗り込むぞ!」
 ペレがルフィに声をかける。
「その言葉、待ってたぜ!」
 ルフィはテーブルにある肉を大口で飲み込み、大ダルのワインを飲み干す。



「行くぞ!」


■WJ39号のあの足は誰なんだ!ルフィ?と慌てて書きました(汗)。肉を食ってワインを飲んで怪我治すシーンを書きたかったのだ。そう「ルパン三世/カリオストロの城」です!

01/08/28 ★ CULT BITTER / キル